法律の条文の中に「○○等」と出てきたら、「等」とは何だろうと頭をひねるのではないでしょうか。例えば、パート労働法第1条(目的)には、多くの「等」が出てきます。この法律は、(中略)短時間労働者について、その適正な労働条件の確保、雇用管理の改善、通常の労働者への転換の推進、職業能力の開発及び向上等に関する措置等を講ずることにより、通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保等を図ることを通じて短時間労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、(以下略) パート労働法施行通達は、これらの「等」について次のように説明をしています。 ○「職業能力の開発及び向上等」の「等」には無料職業紹介の充実等が含まれるものであること。 ○「措置等を講ずる」の「等」には、紛争の解決及び短時間労働援助センター(21世紀職業財団のことー筆者注)の指定等が含まれるものであること。 ○「待遇の確保等」の「等」には、 ・短時間労働者であることに起因して、待遇に係る透明性・納得性が欠如していることを解消すること(適正な労働条件の確保に関する措置及び事業主の説明責任により達成される)、 ・通常の労働者として就業することを希望する者について、その就業の可能性をすべての短時間労働者に与えること(通常の労働者への転換の推進に関する措置により達成される) 等が含まれるものであること。 条文をもう1つ見てみることにしましょう。パート労働法第3条(事業主等の責務)です。事業主は、その雇用する短時間労働者について、その就業の実態等を考慮して、適正な労働条件の確保、教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善及び通常の労働者への転換の推進(以下「雇用管理の改善等」という。)に関する措置等を講ずることにより、通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保等を図り、当該短時間労働者がその有する能力を有効に発揮することができるように努めるものとする。 施行通達の説明を見てみましょう。 ○「その就業の実態等」の内容としては、短時間労働者の「職務の内容」、「職務の内容及び配置の変更の範囲(有無を含む。)」、「労働契約期間の定めの有無」、経験、能力、成果、意欲等をいい、「等」には、必要に応じて同業他社の状況も考慮することを含むものであること。 ○「雇用管理の改善等に関する措置等」とは、法第3章第1節に規定する「雇用管理の改善等に関する措置」と、法第19条に規定する苦情の自主的解決に努める措置をいうものであること。 ○「待遇の確保等」の「等」は、法第1条の「待遇の確保等」の「等」と同様であること。 うーん、なるほど。ただし、「等」の説明を行うのに「等」を付さざるを得ないというのは、すべてを想定することが不可能だということでしょうね。 このように、施行通達は懇切丁寧な説明により、条文の理解を助けてくれます。困ったときの神頼みではありませんが、何かと通達頼みになりがちです。通達を絶対視して、通達どおりに解釈していれば間違いないということになりがちですね。労働法の泰斗である菅野和夫中央労働委員会会長は、東京都社会保険労務士会会報の新春インタビュー「就業形態多様化による非正規労働者急増時代への対応」の中で、通達に過度に依存する姿勢を戒めています。 「役所の通達やパンフレットというのは裁判所に行ったら、あまり重視されないわけですよね。裁判官は契約であるということから、法律の論理を積み重ねていろいろ考えるんですね。つまり、役所がやっているのは、そのなかの一つの解釈に過ぎないということで、いろいろな思考をするんですが、それはいわば一種の応用力だと思うんですよね。基礎的、体系的な知識に基づく応用力、これを磨くということが個別紛争に関与していく上での一つ重要な要素で、この分野で社会保険労務士も力をつけてきたなという感じになるといいんじゃないかなと思っているんですね。」 「やはり、行政側からの通達だけでなく、裁判所と同じような思考で、基礎的、体系的な法律の知識に基づいた紛争の判断をするわけなので、同じような専門家集団だと、個別紛争のあっせんをする上では自覚されていったほうがいいと思うんですね。公正さとあとはやっぱり法的な思考能力ですよ。」 「そういう訳で、応用力、法的な思考力をいっそう磨かれて、社会保険労務士の皆様方の今後の活躍に期待しております。」 |
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