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zoom RSS 経営戦略としての働き方改革

<<   作成日時 : 2018/01/12 22:38  

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 「働き方改革」といえば、毎日目にしない日がないほどの流行語になっています。しかし、私たちは「働き方改革」について、どの程度知っているでしょうか。
 「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)では、非正規雇用の処遇改善(同一労働同一賃金)や長時間労働の是正(罰則付き時間外労働の上限規制)など9つの検討テーマが掲げられています。

 「働き方改革」とは何か。何をすればよいのか。副作用はないのか。どうすればうまくいくのか。私たちの暮らしや社会の発展にとってどんな意義があるのか。
 これらの様々な疑問にまっすぐ答えてくれるのが、白河桃子氏(少子化ジャーナリスト、相模女子大学客員教授)の『御社の働き方改革、ここが間違ってます!残業削減で伸びるすごい会社』(PHP新書)です。
 白河氏は、一億総活躍国民会議から働き方改革実現会議の議員として計18回の会議に出席、精力的に「長時間労働是正」「時間外労働の上限規制」に向けた提言を発信してきた人です。

 本書の魅力は、働き方改革に取り組む経営者や先進的な活動に広く取材し、そのエッセンスを抽出していること、これまでの日本的働き方の問題点を抉り出していること、それを明確な言葉で表現していることにあるといえるでしょう。章を追ってみていきたいと思います。

序 章 働き方改革の何が問題なのか   
 働き方改革を、時短、残業代削減、業務効率化、生産性向上、テレワークやAIなどのIT投資と矮小化してとらえてはならない。働き方改革によって企業の課題が解決できなければ意味がない。「利益があがる」「イノベーションが起きる」「社員が幸せになる」「より社会に貢献する」「会社が魅力的になり、人材が押し寄せてくる」などの果実を目指すもの。本気の「経営戦略としての働き方改革」に取り組まないと最悪のシナリオになる。
 誰も着目してこなかった「時間」という資源に着目することは、イノベーションだ。時間に着目すると、多くの課題が見えてくる。長時間労働是正を、働き方改革の「一丁目一番地」にすることにより、「ギスギス職場」を「ワクワク職場」に変えていく。これこそが、会社にとっても社員やその家族にとっても歓迎すべき働き方改革だ。

第1章 働き方改革はどうすれば成功するのか 
 働き方を変えなければならない3つのショック。@資生堂ショック、A電通ショック、Bヤマト運輸ショック。特に、電通ショックは経済界の「長時間労働問題」に対する空気を変えた。
 働き方改革とは、じつは生き残るための競争戦略であり、イノベーションの源泉。本気の働き方改革を推進する企業は評価と報酬の設計に手をつけている。
 「長時間労働をして今の自分がある」という中間管理職のDNA。彼らの意識を変えるためには、「アクションチェンジ」が「マインドシフト」より先に来なければならない。
 働き方改革は、異質な人がチームで成果をあげ、イノベーションを起こし、付加価値の高い商品やサービスを創出するために必要で有効。ダイバーシティとインクルージョン(多様な人材がお互いに関わりを持ちながら、一体化)が重要だ。

第2章 先端事例に「働き方改革」の実際を学ぶ 
 「働き方改革」、特に「労働時間改革」をやると、どういういいことがあるのか。何が成功のポイントなのか。働き方改革に成功した企業の現場では、何が起きていたのか。

 2007年から「19時前退社」を励行している大和証券グループ。トップが常に言い続けること。「顧客への説明」「評価軸の変更」でトップの本気度を知らしめる。社員の生活の質を変え、もっといい仕事がしたくなる。 
 アクセンチュアの働き方改革。「アクセンチュアで働くすべての人々が、プロフェッショナルとしての在り方に、自信と誇りを持てる未来を創造する全社員イノベーション活動」。大幅な残業の削減、離職率の低下で、社風も変わる。
 サイボウズ。「100人いたら100通りの働き方があっていい」。場所と時間を軸にした9種類の働き方を選べる。ウルトラワークで離職率が5分の1に減少。
 リクルートホールディングス。上限日数なし、すべての従業員を対象にしたテレワークを2016年1月から本格導入。業務の見直し、会議の効率化で残業時間減、オフィススペースの節約。
 カルビー。フリーアドレス制で、座る席は4時間ごとにコンピュータが決める。仕事を「属人化」しない。責任と報酬のバランス。ダイバーシティ経営戦略の推進で低迷商品のV字回復。
 かんぽ生命。仕事のやり方を変えるのに一番大切なのは、「管理職の意識」。意識を変えるのは「評価」。管理職意識改革で残業2割削減。

第3章 現場から働き方をこう変える!
 働き方改革では、「労働時間改革」とテレワークによる「場所と時間の柔軟な働き方」の両方あるのがベスト。テレワーク=労働時間短縮という勘違いをただすことが重要。労働時間の上限を設けたうえで柔軟化することが必要。そのための対策として、フランスでは「メールにつながらない権利」の法制化が決まった。
 仕事の効率化における「三大悪」は、@仕事の属人化、A会議が多い、長い、目的が明確でない、B過剰品質。「仕事の属人化」を防止するために有効なのは、クラウドの活用による情報とスケジュールの共有化。「過剰品質」の防止のためには、「松竹梅」(優先順位)を伝えたり、職場の「心理的安全性」を高めたりすることが有効。
 「長時間労働是正の罠」としての「サービス残業の増加」。政府の労働時間統計が二つ。企業側に聞いた労働時間と労働者に聞いた労働時間には300時間ほどの乖離がある。長時間労働是正に取り組むにあたって、企業の労働時間把握義務を明確にすることが重要だ。
 スエーデン発祥の家具量販店・イケアは、全パート社員の正社員化に取り組み、ほとんど「同一労働同一賃金」が実現している。イケアの女性比率は66%、時間制約のある女性が生き生きと働ける前提にある、「労働時間の長さと活躍は関係ない」という思考、「時間を評価の基準としない」という考え方が極めて重要だ。

第4章 なぜ「実力主義」の職場はこれから破綻するのか
 「実力主義・男女平等」を掲げる霞が関とメディア業界を取り上げ、この「実力主義」が日本の場合、常に長時間労働とセットとなっており、「(長時間労働できる人のみの)実力主義」のもとで、優秀で仕事の意欲のある女性が挫折していく環境を可視化していく。
 24時間働けない人は「使えない人」。女性活躍を女性だけに言っても何も解決しないし、男性の働き方、会社全体が変わらなければならないというステージに来ている。

第5章 「女性に優しい働き方」は失敗する運命にある
 「資生堂ショック」とは、「法定以上の手厚い両立支援」が、子どものいない社員や結婚していない社員にしわ寄せがいき、破綻してしまうこと。育休、時短の社員が少ないときにできたことも、育休、時短の社員が増えればできなくなってしまう。つまり、「女性に優しい働き方」という制度設計が間違っていたのだ。
 両立支援策は、福利厚生であり活躍支援ではない。むしろ使うほど、昇進のキャリアアップも望めない。さらに、企業が両立支援をやってきた割には、出産後の働く女性の数は大して増えていないのが実態だ。
 「男性の働き方改革」で男性を家庭に帰し、その分女性が外に出られるようにすることが必要。女性活躍と男性の家庭進出はセットなのだ。
 大卒女性の場合、出産後育児休暇を2回取り、その後、時短を取りながら復職した場合でも、生涯年収は2億円以上になる。男性が自分だけで生涯年収を今より2億円以上増やそうとしてもかなり難しい。つまり、男性が働きすぎることで、家計的に損をしているし、女性に仕事をさせないことで、日本の国力としても損をしているのだ。
 働き方改革が目指すのは、制約条件があっても自分の能力を精一杯出していけるような時代。そこで多様な人材の力を引き出せる能力が、新しい管理職のスキルとして求められる。復職女性という制約人材が管理職を意識するのは逆転の発想ではないか。女性リーダー育成のためのスリールとワークシフト研究所の試みは注目すべきである。

第6章 社会課題としての長時間労働
 働き方改革は暮らし方改革。働き方は、経済や企業、労使だけの問題ではなく社会全体の問題である。今働き方が変われば、暮らしも変わる。その中でも長時間労働は倒すべきセンターピンだ。
 女性活躍、男性の家庭参画、長時間労働是正、出生率アップはセットで考えなければならない。だからこそ、女性だけでなく、男性の働き方を変えることが重要だ。
 ヨーロッパでは、男女が育児に均等に参加するための施策に力を入れている。日本では父親の育児休暇は福利厚生の一環という認識だが、ヨーロッパでは、父親の育児は「競争力」に関わる問題と認識されている。父親の育児参加は、男女平等の観点に加え、国の競争力や子供の発達に関わる問題として、半ば強制的に父親に育児参加させようとしている。

第7章 実録・残業上限の衝撃 「働き方改革実現会議」で目にした上限規制までの道のり
 これまで、日本における働く時間はいわば「制限速度のない高速道路」だった。事故も起きるし、時には犠牲も出る。しかし、「働き方改革実現会議」の「実行計画」で、事実上青天井だった労働時間に初めて法律で働く時間の「上限」が入ることが決まった。
 本章は、「働き方改革実現会議」についての白河氏による記録。

 白河氏は、2017年が「働き方改革元年」だったといえる年になってほしいと結んでいます。

 
 
 
 
 
 
  



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