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zoom RSS 非正規労働問題の本質

<<   作成日時 : 2011/06/15 08:46   >>

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 デンマークで正規の仕事について収入を得るには、資格を持っていなければならないそうです。医師や弁護士や会計士だけでなく、銀行員、店員、塗装工、一般事務など全ての仕事に資格が求められます。そのため、デンマークの人たちは、国民学校卒業後(日本の中学校卒業程度)、最低でも職業別専門学校で3年間はみっちり勉強するそうです。(千葉忠夫著「格差と貧困のないデンマーク 世界一幸福な国の人づくり」・PHP新書)
 デンマークの人たちにとって、仕事(職務)に対する意識はきわめて明確なものがあることでしょう。そうした状況の下では、仕事(職務)の違いに応じた賃金の違いや同一労働同一賃金原則がごく自然に受け入れられるのではないかと思われます。

 日本の場合はどうでしょうか。濱口桂一郎氏(労働政策研究・研修機構統括研究員)は、日本型雇用システムの本質を職務という概念が希薄な雇用契約の性質に求めています。企業の中の労働を職務ごとに切り出さずに、一括して雇用契約の目的にするため、雇用契約の法的性格は、一種の地位設定契約あるいはメンバーシップ契約と考えることができるとしています。(「新しい労働社会−雇用システムの再構築へ」・岩波新書)
 日本型雇用システムの三種の神器ともいわれる長期雇用制度、年功賃金制度及び企業別組合もすべてこの雇用契約の本質から導き出されるといいます。雇用管理の特徴もメンバーシップの維持を目的とし、入口は新規学卒者の定期採用、出口は定年制、入口と出口の間は定期人事異動、職務ローテーション、企業内教育訓練が行われます。

 ところが、非正規労働者は、この日本型雇用システムから閉め出され、企業へのメンバーシップを有していないのです。具体的な職務に基づいて雇用契約が結ばれ、原則として人事異動はなく、契約の更新を繰り返しても同じ職務を続けます。賃金は時給で、その水準は外部労働市場の需給関係で決まります。メンバーシップを有していないのですから、多くの場合は、昇給やボーナス、退職金はなく、福利厚生施設からも排除され、企業別組合への加入も認められていないのです。  

 八代尚宏氏(国際基督教大学教授)は、日本的雇用慣行(日本型雇用システム)は長期継続的な雇用関係に基づく円満な労使関係の下に、雇用安定と企業内の熟練形成を効率的に行う仕組みであると評価しつつも、高度成長型モデルであり、90年代以降の長期経済停滞のもとでは見直しが避けられないとしています。
 しかし、企業経営者は日本的雇用慣行を固守し正社員の雇用を守ろうとしたため、非正社員を増やし、正社員と非正社員の格差を生むことになったとします。企業の内部と外部の労働者の間の「労・労対立」こそが問題の根源にあるというのです。「若年層フリーターの増加や非正社員の雇用の不安定性は、正社員の厳格な雇用保障や年功賃金と表裏一体的な関係にあったものと考えられる。」と述べています。(「労働市場改革の経済学 正社員『保護主義』の終わり」・東洋経済新報社など)
 
 非正規労働問題は、正規と非正規の間の合理的に説明できない格差や非正規労働という不安定就業の固定化という現象として現れてきます。しかし、その本質や解決の糸口は、日本型雇用システム(日本的雇用慣行)との関係の中に置いてこそ見えてくるような気がします。

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